デザインに正解はあるのか?等、時代と共に変わるモノの見え方や、個人個人の感覚の面も含めた上で、ハッピーカンパニーの軸の中で、ある種の「正解」を、お伝えできたらと思います。結論から言いますと「正解はない」と断言してしまえば、それまでですが、私個人の話であれば、基準となる軸や考え方がいくつかございます。これは持論や主観にも近いです。
これも永遠のテーマであり、グレーのままで終わる話かもしれませんが、ご興味のある方は、少しばかり、この話に少々お付き合いくださいませ。
アクセサリーにもトレンドはあるのでしょうか?果たして…
トレンドのサイクルの中でも保たれ続けている根本の軸、デザインのベースとなるモノはどこから来ているのか?私が思うにトレンドすらも過去の延長であり、それは回るに回ってきたレトロなモノだと捉える事もできます。
過去のスタンダードが現在のスタンダード、懐かしさ通り越して斬新に見えたりもする。
ヴィンテージのアクセサリーの価値
多くの人がスタンダードと認識するデザインにも伝統の要素が見受けられる。つまりトレンドのデザインもまた、これまでの伝統の中の一つに当てはまると言えます。それを踏まえつつも自由度が高く、自らの感性やオリジナリティを強く作品に投影させているジュエラーが存在します。その多くのデザインには正解、不正解の観点はあってないようなもので、まるで自らの意志で全てをジャッジしているようです。
当然ながら身に付ける人、作り手も含め正解は自分の中で見出していく事なのでしょう。
アクセサリーを選ぶ基準は?素材なのか?デザインなのか?それ以外の判断基準とは…
私の主観ですが、世界からアクセサリーを求めて多くの人が集まるメキシコのタスコでは、広い視野で作品を見ることができます。
メキシコ現地特有のデザインモチーフは勿論、作り手ならではの技法やオリジナリティ溢れるデザインです。そこに入り混じるスタンダードなアイテムもどことなく尖って見えます。一部に向けた作品(デザイン)に至っては協調性は皆無に見えるのかもしれませんが、実際、作り手と同じようにジャッジし、手に取る人がいるという事です。これぞ、まさに共有、語らずして通じ合う感覚でしょうか?どこかで協調性が生まれてゆく…
メキシコのアクセサリー職人の業
私がメキシコのアクセサリーショップや工房のジュエラーと接した感覚…、それは、良い意味で、とにかく距離感が近いところです。それも、そのはず…作品を通じて分かり合えた気がするからです。その感覚は逆の立場で、同じように私が日本でアクセサリーを作っていて感じる事。彼等の真髄を受け継ぎ、それを母国で他の誰かと共有、通じ合える事に喜びを感じます。
時にはじっくり真剣に選び、考え…
そして時には瞬間的にジャッジする…
これも時と場合でしょう。
メキシコを旅する中でこれまで感じてきた事「ジュエラーの記憶」
ハッピーカンパニーにあるアイテムラインナップ。その中で選ばれたモノの全てに深い思い入れがあり、メキシコを旅してきた時の光景、これまでの光景が私の頭の中で浮かび上がります。
作り手が作品づくりの中で新しく挑戦した事。それを選び身に付ける人も似たような感覚を持って何かに挑戦する事なのかもしれませんね。いずれにしても、どこかで強くリンクしているように思えてくるのです。
モノの価値は内側に秘められている?個人の価値感について
よく「経験が財産」とも言われるように、ご本人にとって特別な体験であったり、特別心に不思議と響いたモノであれば、永遠の財産となります。それは、モノの価値だけではなく経験の価値、つまり心の中に記憶として残るのも価値だと言えます。
ハッピーカンパニーではこれまでの経緯をもとに、トレンドや基本となるルーツを踏まえながらも、その奥底や根本にある軸の中で、個々の正解や答えを一緒に探し当てる…そんな感覚です。
そして、モノと共に残る記憶や記録…
「必ずしも目に見えるモノだけが全てではない」…とも言えますね。
HAPPY COMPANY
小倉 盛人
東京福生を拠点にしたショップ内の工房でアクセサリーを制作し続け、31年目をむかえたハッピーカンパニー。1991年に開業し、その間、世界有数の銀の産地メキシコ・ゲレロ州"タスコ"を旅しながら現地のジュエラー(職人)と交流。そこで多くの作品に触れ、タスコで入手したアクセサリーの数々を公開してきました。タスコの工房で学んだ経験を元に母国日本で自身の作品も展開。ハッピーカンパニーならではのエピソードや職人の日常、アクセサリーに関連した話や豆知識などを発信しています。
2022年1月の火災で建物内のショップと工房が全焼し、それから暫くして山奥に工房を確保。山と郊外を行き来しながらハッピーカンパニーと過去のアクセサリー(メキシコヴィンテージ等)を復活、復元させるための作業を進行中です。周囲の方々と閃いたアイディア、この一連の流れを「フェニックス計画」と名付け、それを心の支えにしながら数々の作品をリバイバル、そして新しいアクセサリーのラインナップも公開中。"国"を問わずアクセサリーやアートを通じて交流を深めながら様々なオーダーやご要望にお応えしております。
ここは自他共に認めるアクセサリー好きが築き上げた「小さな隠れ家」