職人の世界…破損したアクセサリーの修復と工房の復旧作業

年代物のメキシカンジュエリーが新しくリバイバルされる

現在、様々な事情や気持ちの面からも、多くの年代物のアクセサリーの修理、修復作業を進めています。原型が薄ら残っているモノもあれば、炎の熱で殆ど溶けてしまっているモノもある。瓦礫や土に埋もれて変形してしまっていたりダメージの度合も個々によって異なる。


主にこれまでメキシコ・ゲレロ州"タスコ"で入手してきたシルバーやメキシコビンテージ等のシルバーアクセサリー類です。


↑ハッピーカンパニー工房の跡地から発掘されてゆくアクセサリー。何事も優先順位をつける事は難しい…

ダメージ弱
・表面処理したり部分的に埋める作業。

ダメージ大
・これまでの記憶や写真を元に復元。または大幅なアレンジを施す。

アンティークな真鍮素材やシルバー素材のアクセサリー

過去の延長であるアクセサリーの修復、復元に力を注ぐ事で見えてくるモノ。原型が殆どないモノに関しては自分の中の記憶から探り、カタチを思い浮かべながら復元していきます。他のジュエラー(職人)が作ったモノであれば、作り手が異なるので私自身の感性も加わります。それによってまた別のカタチになることも


このような工程を繰り返し行ってゆく中であらためて気付いた事。それは無から創り上げるモノも、実は過去に見てきたモノや培ってきたモノの延長から生まれるのだという事。


宝石探しや遺跡発掘?アクセサリーを掘り起こす作業風景

どうしてこうなったのか?どのくらい…一体何年前のアクセサリーなのか?想像するにタイムマシンに乗って自分の人生を振り返るため、アクセサリー工房の現場へ訪れたとしたら、このような感覚になるのではないだろうか?まるで古代の遺跡を発掘しているような気分にもなる。

アクセサリーのカスタム等も施される「シルバー職人の業」

原型が残っていないアクセサリーであれば、修復、復元の際に私自身の個人的な感性が加わり、さりげない部分でディテールやフォルムが変わったりします。さらに、全く異なったカタチになる事も


真鍮(ブラス)、シルバー、さらにゴールド素材のアクセサリー。場合によってはご要望にお応えし、天然のストーンやダイアモンドの装着等、大幅な変更やカスタマイズも施す。


金銀の価値が上昇しアクセサリーに対する価値観も変わる

メキシコでは90年代はボリューム感のあるアクセサリーが多かったのですが、銀の価値が上昇するにつれアクセサリーは軽量化されていきました。現在も金銀の価値は上昇する傾向にあります。もちろん、華奢なアクセサリーも魅力的ですが、作り手側も思考錯誤してデザインや構想を考える。全ての工房に当てはまる話ではありませんが、2000年代初期の全体の風習の中でこのような流れがありました。


そのような事情も考慮しハッピーカンパニーではディテールの追加や、ボリュームアップ、またはフォルムの調整などを長期に渡り行ってきました。


新しいアクセサリーデザインの基本は過去の延長にある?

図案から作り出すオリジナル、そしてアクセサリーのデザインや、その奥底にあるルーツを残しつつ再現される。生まれ変わったアクセサリーは、見慣れた親しみのあるモノ…或いは、見る人によっては、それがこれまでに無いような斬新なモノに見えたりもします。


年代物やビンテージのリバイバルの面白いところです。いずれにしてもこの先の未来へと繋がる作品を作りたいと思う事から現在のアクセサリー制作に至ります。


(私が感じた事として)時代が進むにつれ、変わるモノもあれば、根本として変わらない部分もあるのだと実感。それはデザインやアクセサリーに限らず、考え方や在り方にも関連しているのではないでしょうか?


時代と共に変わるアクセサリー職人の在り方について

ハッピーカンパニーは小さな隠れ家の中でひっそりとモノを創り続けてきました。時代の変化と共に新しい発想も取り入れられましたが、事実として変わらない根本の軸があります。


世の中が変わっても変わらない事もあり、それは自分自身の変化にも当てはまる。そんな気がするのです。


つまりは、ハッピーカンパニーは自他共に認めるアクセサリー好きが集う場であるという事です。


HAPPY COMPANY

小倉 盛人