アクセサリー制作の図面からメイキング風景まで

ジュエリー職人の世界「シルバーアクセサリー制作」の裏側

世の中に多く見られるシルバーアクセサリー。生産はもちろんですが、最初の企画段階から図面の書き下ろし等、一人の職人、または交流の中でその都度アイディアを膨らませていきます。それはアクセサリーに限った話ではございませんが、私自身がシルバーアクセサリーをメインに制作に取り組んでいく中で、お見せできる部分を少しでも発信できたらと…

王道なデザインから前例の無いデザインまで、発想は個々にあり、デザインのみならず目に見えない奥底の部分を大切にしていきたい。

何故なら、人が交わる中で個々に大切な想いやストーリーが存在するからです。

・ジュエリー職人のエピソード
・交わる人達
・コミュニケーションからデザインを作成
・沸き起こるアイディア
・発案から完成に至る瞬間
・工房内のメイキング風景


メキシコのアクセサリー職人の真髄と国内アパレルやクリエイターの視点が合わさる

まず、私の話になりますが、30年間メキシコを行き来し、旅の中で学んできた「メキシコジュエラー(職人)の真髄」を軸に現地のジュエラーとのコラボレーションアイテムの制作、現地のアクセサリーを入手。

※メキシコのゲレロ州タスコは銀の産地。ここで作られたアクセサリーは世界に広がっています。

そして、母国、日本のデザイナー、クリエイターの方々との交流や個人やアパレルの方々との交流を重ねています。

シルバーアクセサリーのデザイン企画「念入りな打ち合わせ」

セレクトアイテムやオリジナルアイテムも含めて、新しい発想も過去の延長から生まれるとも考えられます。これまでの数ある作品を確認し、それを軸にアイディアを煮詰めてゆく。

日頃からクリエイティブなモノに触れている人の視点であったり、職人の視点であったり、または他分野の人の視点など、その都度出てくるアイディアを大切にしています。

日頃からアクセサリーの撮影も行う

後にフォトグラファーやアパレルの方々が完成した作品を撮影、職人の私自身もアクセサリーの撮影に没頭。工房、ショップ、野外…とシチュエーションは様々です。


アクセサリーの図面から構想を練り打ち合わせを重ねてゆく

これまでの作品をベースにカスタマイズを施す場合もあれば、無から図面を書き下ろしていく場合もありますが、いずれにしても発想はゼロからではなく、私を含めそれぞれが、これまで見てきたモノや経験の中から湧き出てきます。具体的にはっきりと見えてくる場合もありますし、抽象的にイメージを膨らませ、互いに汲み取る場合もある。

ジュエリーデザインの「ラフスケッチ」制作に至るまで

ラフスケッチの段階では全体のデザインもサイズバランスも感覚的な部分です。実際の仕上がったときのサイズ感を想像し、デザインとして成立するかどうかをジャッジしますが、私自身もそうですが、時には明確に決めずに制作に取り掛かる事もあります。もちろん、その逆もあり計算通りに進めていく事もあり、臨機応変です。

いずれにしても気持ちが温まっている状態で制作に取り組んでいく事。

前例の無い珍しいシルバーアクセサリーのデザイン企画

これまで前例が無い企画は特に、仕上がりもデザイン性も未知数。想像の中でボリュームやサイズ設定をし、それも実際に仕上げた後に分かる事です。実際どんなイメージで仕上がるのか…等、挑戦心が沸き起こり、サプライズ的な要素も大きいと感じています。

企画、図面から実際に仕上がった作品

↑私ごとですが現在、野外で作業する事もあり、山の気温はマイナスまで下がります。

アパレルショップで展開されるシルバーアクセサリー

ヴィンテージアクセサリーの復刻版、過去をたどりこれまでの作品からのインスピレーションが未来の作品へと繋がっていきます。これまでに破損したアクセサリーの修復等を行なってきました。

その中で、これまでこの目で見てきたデザインを軸に、また新しいアレンジが施される等、過去と未来を行き来しています。

ひっそりと工房で制作された作品が外の世界へと旅立ち、人の手に渡る事を想像します。はじめて作品がスポットライトに照らされる瞬間です。

ヴィンテージアクセサリーの復刻版を制作「現代のトレンド色と根強いカルチャー色」が混ざり合う

アクセサリーに込められた意味合いと、それぞれのモチーフのルーツを辿り、デザインを作成。ゼロから作る場合であっても、それは無からではなく発想としては復刻版に限りなく近い。紳士の証とされるシグネットリングをはじめ、ヴィンテージアクセサリーのお約束、エナメル素材を取り入れたりと、メキシコジュエラー(職人)の真髄を元に過去に培ってきた経験を活かしてゆく。

アクセサリー工房の作業シーン「メイキング風景」

工房内はバーナーの熱で焼き焦げた土台、使い古された工具。鉄の香りや金属音、機械音等が鳴り響きます。そしてアクセサリーの最後の仕上げに刻印を打刻する。

ディテールや素材の良さを追求し、末長く愛用できるアクセサリーは永遠の存在です。家宝となり、その人を象徴するモチーフとなります。

これまでにある王道モチーフの中に込められた意味合いやルーツ、それはまた新しいカタチとして生まれ変わる。または前例が全く無い、見たこともないデザインをカタチにする等、いずれにしても制作に携わる中で体験できる事があります。

それぞれのモノや作品の中に、深い意味合いやストーリーが存在するのです。

HAPPY COMPANY
小倉 盛人